イエスキリストの物語〜カーリエ博物館
カーリエ博物館のモザイク群 イスタンブール トルコ
今回はカーリエ博物館の外ナルテクスのモザイクをご紹介します。
前回の「マリアの危機」的なセンセーショナルな終わり方は私が意図したものではなく、内ナルテクスにあった内容に従ったらこうなってしまいました。
まるで連続ドラマのようですね。次回はどうなってるのかしら?なんて、この辺りの感性は現代の私たちと似ている気がして親近感がわきます。
さてキリストの物語ですが、その前にトップ画像の説明です。
こちらは内ナルテクスのもう一つのドームのモザイク「キリストの系譜」です。
中央にキリスト、周りにいるのはキリストの祖先です。アブラハムからキリストまで42代、1周で24人、場所によって2段に配置されているので、全員いそうです。顔もそれぞれ違うので見応えあります。
では本編に突入です。

「ヨセフの夢とベツレヘムへの旅」

「ヨセフの夢とベツレヘムへの旅」細部
突然のマリアの懐妊にすっかり怒ってしまい、別れるつもりのヨセフですがある日夢を見ます。
主の使いが彼を訪れ「彼女の身に宿った子は聖霊によるもの。彼の名をイエスと名付けよ、彼は民を救う者となる」とのお告げを受けるのです。
これでヨセフは納得しマリアと別れるのをやめます。
ちょうどその頃、王(アウグストゥス)は課税登録せよとの命を出します。この辺りは時代的にも合致してて、聖書の物語とリアルな歴史がシンクロしていて面白いなーと思います。
ともかく、命令に従いヨセフはマリアを連れてベツレヘムへと旅に出ます。

「課税のための登録」

「課税のための登録」細部
課税登録しているマリア様の様子。
ヨセフはまるで保護者のようにその様子を見ています。
そして、、、

「キリストの降誕」
キリスト降誕にまつわる様々なシーンが描かれています。
右側には羊飼いの元に天使が現れるシーン、左側はイエスが産湯に浸かるところでしょうか。

「ヘロデ王の前の三賢者」
キリストの降誕の知らせは三人の賢者によってヘロデ王にもたらされます。
これがもとでベツレヘムに大きな不幸が訪れます。

「無垢な子供の大虐殺」
王は自分の地位を脅かす存在の誕生を恐れ、ベツレヘムにいる2歳以下のすべての男子を殺害するよう命じ、実行させます。

カーリエ博物館にはなぜか幼児虐殺に関連したシーンを表したものが数多くあります。
ブックショップの上辺り、残虐なシーンが目に付きます。

こちらは殺された子を思い、「悲しむ母親たち」

「エリザベスとヨハネの逃避」
タイトルを見て初めて知りました。洗礼者ヨハネとその母親エリザベスも、同様に危ない思いをしていたようです。

「エジプトからの聖家族の帰還」
そんな大変な状況の中、キリストたち3人はエジプトへと難を逃れます。
その後ヘロデ王が死去したことを知ると、神の導きによりイスラエルの地へと戻るのです。

「イエスの洗礼」と「荒野の誘惑」
イエスはヨルダン川に赴き、ヨハネから洗礼を受けます。
その後、精霊により荒野へ向かい、40日間の断食を行いながら悪魔の誘惑と戦います。

「イエスの洗礼」細部
ここまでがキリストのお話のような感じです。
その後は、キリストの奇跡のシーンの数々はあるのですが、不思議なことに私たちが良く知る「最後の晩餐」などのキリストの最後にまつわるシーンはないのです。
なんだか中途半端な感じですが今回はこの辺で。