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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

ゲドからアマルフィへ

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アマルフィのドゥオモ前からこんにちはorこんばんは

実はこちらは今回の記事の本命ではないのですが都合上こんな感じになってます。

ジブリのアニメで「ゲド戦記」ありますよね。
昨年末ごろテレビで放映されてて、この度ようやく最後まで話について行って見ることが出来ました。多分。
冒頭のシーンでビザンチンを思わせるようなモザイクで装飾された建物が登場するおかげで、背景に目を取られ、のっけから本筋から取り残されてしまう厄介なこの作品。(私だけでしょうが)

そのゲド戦記のモザイクといえばタイトルバックに現れるこちらの龍ですが、これを見るたびに思い出すものがあるんです。

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そのモザイクがある場所に行ってみましょう!

南イタリアのアマルフィ海岸沿い、アマルフィの町のお隣にラヴェッロという町があります。
「標高350mの高台にある洗練された高級リゾート地」だとか。
アマルフィからわずか30分ほどのドライブで到達したドゥオモ前の広場、めっちゃ閑散としてます。そっかまだ3時前だしまだお昼休みなのでしょう。

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時間つぶしにヴィッラ・ルーフォロに入ってみました。

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ワーグナー音楽祭で使われる場所ということで、聞きなれたワーグナーの作品をBGMに建物を観光。
お庭が素敵なところなのですが、お出かけしたのは1月だったので季節的にお花の種類が少なくちょっと寂しいです。
モザイク目的で出かけて季節のチョイスを誤る、私がちょいちょいやらかすミスです。

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でも眺望は季節に関係なくとっても素敵〜♪

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そろそろお昼休みも終わりかな?と再びドゥオモ前。
うーん、まだ扉が閉まってる。
もしかして押したら開く?と試してみたもののやっぱり閉まってる。
近くに開館時間案内を見つけのですが、なんと17時~20時!!
うーん、流石に待てない。次の予定に間に合わない、、、、、

実はこのドゥオモにある2つの説教壇が見たかったのです。
ヨナの説教壇のヨナとはアクイレイアの教会でも登場したあのお方です。
怪物に飲み込まれるところと吐き出されるところのヨナがモザイクで施されてるのですが、この怪物がなんともコミカルで愛らしい。
そう、この怪物をなぜか思い出してしまうんです。
全然似てないんですけどね。

実物の写真はこちらで確認していただければと思います。
イタリア情報サイト

もうひとつのライオンの説教壇にはこんな子もいたりして、こっちの方がゲドモザイクに近い?
龍じゃなくてグリフォンです(昔どこかから拾ってきた画像です)

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もっとそっくりなの見つけたいですね。
そんな風にモザイクを探してみるのも楽しいです。

ポンペイでモザイクを探してみた

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「アポロの家」のモザイク ポンペイ イタリア

ポンペイ、ヴェスビオ火山の爆発で一瞬のうちにその火山灰の下に埋もれてしまった、イタリアでもいや世界的にも超有名なローマ遺跡です。
モザイクに出会う前にポンペイの遺跡を一度訪れたことはあったのですが、その頃に見たものといえば「猛犬注意」のアレしか記憶がなくて、改めてモザイク目的で行ってみました。

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事前調査してわかったのですが、ポンペイでのモザイク出現率めっちゃ低いです。
モザイク装飾があるのは主に浴場跡か邸宅なので、その二つを中心に調べたのですが浴場は特になし。邸宅はモザイクの表記があったものは十数件のみでした。
その中でもめぼしいものはほとんど博物館に行っているでしょうし、あるとしても中に入って見られるかどうか、、、

そんなにポンペイって邸宅が少なかったのか?というとそうでもないらしいです。
噴火直前のポンペイは商業と農業で栄えた小都市、市参事会にいた100名ほどはいずれも名家や金持ちだということで、少なくともその程度の富豪はいたようです。ただ元老院階級はいなかったようなので、ローマから見たら小金持ち程度が多かったってことでしょうか?

そして実際に行ってみたところ、ちゃんと中に入ってじっくり見れたなーと思ったのはわずかに3件のみでした。

まず一つ目は、かの有名なファウノの家(または牧神の家)
あの「ダリウスとアレクサンダー大王の闘い」のモザイクがあるところです。
とは言っても、ここにあるのはレプリカですからこんな風にあったよって感じで。2つのペリスタイルに挟まれた部屋の床を飾ってました。ペリスタイルって私的な中庭を指します。ちなみに公的な中庭がアトリウム。ということはあのモザイクは邸宅に住む家族や私的なお友達等、内輪の人しか見られなかったんでしょうか?なんてもったいない話でしょう!

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ファウノの家には他にもこんなモザイクがありました。

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2つ目の家がトップ絵の「アポロの家」のモザイクです。
モザイクは広い庭の端っこにある小さな建物の壁に飾られてました。

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この鮮やかな発色のテッセラは貝殻と練りガラスで作られてました。こんな昔から練りガラスの技法があったんですね。

トロイ戦争の中の、女装してシロ王の娘達の間に紛れ込んだアキレウスをオデュッセウスが見破るシー ン。
オデュッセウスが乙女達に衣類やアクセサリーといった贈り物をし、その中に混ぜた武具を思わず手に取った乙女をアキレウスと見抜いたのですが、もしかして混ぜた武具ってこの盾ですか? 随分と大物を持ってきたものです。
そして乙女と見まごうという設定のアキレウスの顔をアップで撮ったら怖くなりました。保存の状態がちょっと残念な感じです。

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このアポロの家には他にも「三美神」と「アガメムノン対 アキレウス」の色モザイクがありました。この2つはナポリ考古学博物館で見られます。

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3つ目が先に登場した猛犬注意のモザイクがある「悲劇詩人の家」でした。

あとは外から覗き込む形で幾つか

大噴水の家
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小噴水の家(ピンボケだったのでサムネイルで失礼します)
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アンカーの家
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他にもちょこちょこと外から撮った白黒モザイクがある程度でした。

モザイクだけを目的に行くと労多くして益少なし、いやー大変でした。
でもどうしてもやってみたいというお方のためにちょっとだけアドバイス。
今回ご紹介したモザイクはポンペイの遺跡のなかのRegio VIに全てあります。まあ、いつもいつも同じところが空いていてなかに入れるとは思えないですが、ご参考までに。
広い遺跡、少しでも省力化して見て回れますように。




モザイクで見るアレクサンドロス大王

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ナポリ国立考古学博物館所蔵「イッソスの戦い」 イタリア

古代ローマモザイクをやっているとこのお方は欠かせないですよね。

alex.png生まれはマケドニア王国のペラ。父親はマケドニア王フィリッポス二世です。このお父様はなかなかの戦術家だったそうで、長槍を携えた重装歩兵を最初に有効に活用した方のようです。6mぐらいの長槍部隊を大型化し密集させて突進させるんだとか。素人の想像ですがかなりの迫力がありそうですね。このマケドニア式のファランクスを使った新戦術は無敵だったそうです。

右はそのペラで発見された小石モザイクの代表作の一つ「ライオンと闘うアレクサンドロス」の一部。若き日のアレクサンドロスと言われてます。なかなか麗しいお姿ですねー。いつか行って本物を見てみたいものです。

20歳の若さでマケドニア王を継承したアレクサンドロスはこのファランクス部隊を従えて大遠征を始めます。当時の対戦相手はアケメネス朝ペルシア。その最後の王と戦った場所が現在のトルコに当たるイッソスだったのです。ダレイオス3世が率いる軍は十万、対するアレクサンドロス軍はギリシアの同盟軍を加えても4万に満たなかったのだそうです。でも歴史の結果を知っている私たちは、数の差をものともせずにアレクサンドロスが勝利したことが想像できます。

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なぜこんなことを延々と説明したかと言いますと、こちらのモザイク画、わたし今まで後ろにある槍はダレイオス3世の軍勢のものとばかり思っていたからなのです。位置関係から素直に見ると、そう思えますよね?だから普通の対戦シーンだと何の疑問も持たずに見てました。
でもこの槍がマケドニアのファランクスのものとなると、話は全く変わってきます。というかダレイオス3世、マケドニア軍に回り込まれて絶体絶命のピンチじゃないですか?

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危険を察知して退却すべく馬車の向きを変えようと必死の御者、突然鞭打たれて馬達は慌てふためくものの足並みがそろわずもつれてます。
そしてアレクサンドロスは目前の敵将にトドメを刺すべくしっかりと前を見据えているところ、なのですね。

「マケドニアには最強の長槍部隊があった」
そんな一言を耳にしたところからこの記事を作りました。

皆様の目にはこの作品はどんな風に映っていましたか?

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