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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

いろいろな時代をくぐりぬけてきました

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サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ教会のモザイク ラヴェンナ

今回の記事でラヴェンナシリーズは終わりです。
最後に旧市街ではなく新市街、ラヴェンナ駅のすぐそばに行きます。緑がまぶしいの公園の脇にそびえる古そうなレンガ造りの建物がサン・ジョバンニ・エヴァンジェリスタ教会です。
建てられたのは5世紀の中頃、ラヴェンナ最古の教会です。聖ヨハネがガッラ・プラキディアの前に現れこの教会を建てるように告げたという逸話もあるそうです。第2次世界対戦の爆撃で酷く損傷したのですが修復されました。

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教会の入り口、どこまでがオリジナルかちょっとわからないですが。。。


教会の中は残念ながら壊れちゃってて、ほとんど残っていません。でももともと内陣や周辺にはモザイク装飾があったみたいで、手描きのパネルが置いてありました。残ってたら凄かったんだろうなー、残念だなー。

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でもこれ、色合いといいもう少しなんとかなりませんかねー?

その代わりというわけではないですが、教会の壁にはモザイク片がずらりと並んでいます。こちらはこの教会の床を埋めていた13世紀ごろのモザイクです。ああ、無事でよかった。
ルネッサンスが訪れる前のこれらの作品群、ヘタウマっぷりがなんとも愛らしい。デフォルメっぷりもなかなか大胆で却って新しさを感じてしまいます。どんな方々がこれを作っていたのでしょうか? 

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枠の四隅の処理めちゃ適当です。
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こちら第4回十字軍がコスタンティノポリスを陥落しちゃったもの、キリスト教世界における黒歴史です。この事件があったのは1204年なのでモザイク製作当時は記憶に新しいそれはそれは衝撃的な事件だったのでしょう。当時新聞があったならそのまま挿絵に入れたいです。でもかわいらしすぎますね。

ここからは動物たちなど
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このインパクトの強さには余計な文はいらないとおもいました。

ローマの残り香

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アリアーニ洗礼堂とサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂 ラヴェンナ

ラヴェンナのモザイクの残る教会は初期キリスト教時代のもので、5〜6世紀のものがほとんどです。
この頃って時代の狭間にあってローマ帝国は分裂・崩壊しつつあるし、キリスト教も様々な宗派が生まれて正統だ異端だとのやり合っているし、、、おかげで価値観が一定でないので表現方法も実に多彩で面白いです。
そのせいか現在の感覚で見ているとあれ?と思うようなことにも遭遇します。

まずはこちらの洗礼堂のモザイクを。これは異端とされてしまったアリウス派のものです。
なぜ異端とされたか?信者でも学者でもないので言い方が乱暴になりますが、要は三位一体を否定していた。キリストを神様扱いしなかったからということのようです。

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少し前に紹介したネオニアーノ洗礼堂と明らかに違うのがキリストの表現方法。信仰に目覚めたピュアな若者として描かれています。いかにも人間臭くて私は好きなんですが正統派から見たら「まずいでしょう、コレ!」となるようです。
そばにいるのは洗礼者ヨハネとヨルダン川の神様。
、、、と、日本人の感覚でさらりとヨルダン川の「神様」などと気安く表現してしまいました。ネオニアーノ洗礼堂の記事にもなんの抵抗もなくさらりと書いてしまいましたが、これ本当はまずいですよね。キリスト教は一神教ですから。
でもおそらくですが当時の織工たちもそのぐらいの感覚で作っていたんじゃないのかなと思うんです。袋から川の水を出すなんて神の仕業ですよね。こんな表現が許されていたのも、まだローマ時代の多神教の名残が残っていたのかなぁと。


アリウス派によって建てられたもので有名なのがサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂。
ちょっと短足なバシリカ様式の列柱の上部がモザイク画で覆われています。そこに描かれているのはずらっと並んだ殉教者。向かって右側が男性、左側が女性です。今の感覚でみると聖人が粛々と行列しているように見えます。でも殉教者の中にはローマ帝国と関わりがあって、という人たちもいるでしょう。この聖堂が西ゴート王のテオドリックの命によるものとすれば、古代ローマを全否定するためにあえて作らせた、、、なんて想像することもできそうです。当時の人の目にはどのように映っていたのでしょうか?

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そうは言ってもなかなか民衆に根付いた生活習慣までは抹殺できないものです。
だって、最後の晩餐のキリストと12人の使徒たち

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ローマ式に寝転がってお食事してますよ。

しかしこのアリウス派の聖堂も異端視され、不適切とみなされたモザイク画は壊されてしまいました。殉教者たちの出発点となる2つの建物は後の時代に手を加えられた箇所です。なんとも大味なクラッセ港とそれなりに頑張った王宮。

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ただ制作担当者、かなりいい加減な人だったに違いありません。おかげで今では完全にホラー。

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ホント、面白いです。

かかやく星空のもとで

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ガッラ・プラキディア廟 ラヴェンナ

サン・ヴィターレ聖堂に引き続きガッラ・プラキディア廟です。
この2つのコンボはモザイクファンにはなかなか辛いところです。なぜってじっくり見たいし写真も色々と撮りたいし、時間も足りない、カメラの電池も足りない、カメラのメモリーも足りない、のないないづくしですから。
ある意味贅沢な悩みでもありますが、はるばる日本からやってきて後悔はしたくありません。準備はきっちり抜かりなく。

かく言う私、電池切れを起こしてしまい、プチパニックを起こしかけました。が、幸いなことに同じ型の電池を使ってる人がいたのでそれを急遽借りてなんとか乗り切りました。

サン・ヴィターレ聖堂の出口を出ると庭の隅っこにちょこんと見えるガッラ・プラキディア廟、まるで聖堂の付属施設のようです。でも、これは時代の流れでたまたまこんな風になってるだけで、ガッラ・プラキディア廟の方が時代的には古いのです。

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中はうってかわって深いブルーを基調とした落ち着いた雰囲気です。あちらの聖堂がきらめく昼間の世界ならこちらは星空輝く夜の世界。遠くベツレヘムの夜空を思い起こさせる神秘的な空間です。

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小空間ゆえに感じたのが曲面の多さでした。アーチにヴォールトにドーム、その上にびっしりとモザイクがうまっているのです。建物の構造的な美しさを壊すことなく、ここまで美しく際立たせられるなんて!
おそらくはイタリア本土の中で曲面にここまでモザイクを張り込んだのは、これが初めてくらいではないでしょうか?コンスタンティノープルから技術者を呼んだでしょうが、相当試行錯誤があったはずです。有名無名問わずこの空間の装飾全てから緻密さと芸術的な美しさを感じ取ることができる贅沢な空間です。

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「善き羊飼いとして表わされたキリスト」
「よき羊飼い」ってDomus dei Tappetiにもありましたよね。この時期人気のモチーフだったのでしょうか?

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ヒスパニアの殉教者聖ウィンケンティウス

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水盤から水を飲む白い鳩

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アカンサスの葉に包まれ泉の水を飲む二頭の牡鹿 聖書の詩編にあるシーンだそうです

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ここは光源も少なくて相当暗い場所でした。最近の日本のコンデジは相当優秀なので滅多に困らないとは思いますが、スマホだと難しいかも。念のため書き加えておきます。

モーゼ風モーゼ

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サン・ヴィターレ聖堂 ラヴェンナ

サン・ヴィターレ聖堂は八角形の建物です。洗礼堂じゃなく教会でこの形は珍しいと思います。
かつてはこの八角形全部にモザイクが施されていましたが、今は僅かに1カ所に残るのみ。とは言っても、その1カ所でも十分にモザイクの小宇宙を感じることができます。

ま、百聞は一見に如かず!
まずは動画でお楽しみください。



しかしサンタポリナーレ・イン・クラッセに引き続き、モザイクで作られたこの初期キリスト教会のモーゼは若くて美しいですね。いったいいつからあの髭もじゃが定着したのでしょうか?

余談ですが、Mosaicという単語「モーゼの」という意味もあります。もちろん大文字から始めないといけないのですが。このモーゼとモザイクをつなぐこんなエピソードがあるのをご存知ですか?

モーゼがシナイ山で神から十戒を授かるときのことです。モーゼが授かった石版を持って山を降りてきたとき、麓ではイスラエルの民が黄金の子牛像を作ってドンチャンやっていたわけです。それを見たモーゼは怒ってしまい、持っていた石版を地面に投げつけ叩き割ってしまいました。石版はそれこそモザイク状になってしまったわけです。

一説によるとこれがモザイクの語源とも言われているようですが、、、
ここのモーゼがもらった十戒を刻んだ書って、、、

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石版じゃないし、これじゃ割れないでしょ。

近場の地下ににある穴場

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Domus dei Tappeti di Pietra ラヴェンナ

ネオニアーノ洗礼堂からサン・ヴィターレ聖堂へまっしぐら!
と行きたいところですが、ちょっと寄り道です。

サン・ヴィターレ聖堂のすぐそばのBarbiani通り沿いにサンタ・エウフェミア教会というのがあります。でも私たちにはこっちの方がわかりやすい。表ののぼりに Domusu dei Tapeti di Pietraの文字、直訳すれば石のカーペットの邸宅です。地下に最近偶然見つかった、6世紀初め頃のの邸宅跡があるのです。

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地下の様子はこんな感じです。
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説明パネルにあった図面。部屋数がすごい!モザイクの量がすごい!
トップの「四季の精霊のダンス」は10番の部屋にあったのですね。ここのモザイクはだいたい5〜6世紀のころのものでそうです。

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モザイクのほとんどは幾何学模様です。
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もう一つ絵がありました。「よき羊飼い」
題名がキリスト教っぽいのですが、関係があるのでしょうか?
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細部もちょっと。
通路にはガラス張りになっていたり、欠損部分の補完の仕方とか、見せ方が最近のものって感じがします。

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このボリュームは一見の価値があると思いました。

ではサン・ヴィターレに向かっていきましょう!
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道すがらこんな看板を見つけました。モザイク修復の学校です。本格的な感じですね。
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道か敷地かよくわからないところを歩いているうちに中庭っぽいところに出てきました。その一角にある階段を降りていきます。
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見えてきました、見えてきました!
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というところで今回はここまで、次回こそ本命を紹介します。

主役は主役らしくあって欲しいと思うのです

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ネオニアーノ洗礼堂 ラヴェンナ イタリア

ラヴェンナの旧市街に入りました!
最初はまず腹ごしらえということでレストランに向かいます。さすがラヴェンナ!レストランの中もモザイクが飾ってあります。枠にもはめないこの仕上げ方、どうやったらこうなるんでしょうか?

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旧市街をぶらぶらと進みます。自転車に乗った若い子がやたらと目につきます。町のあちこちに自転車置き場がちゃんと整備されていてました。
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最初向かったところはネオニアーノ洗礼堂です。5世紀頃ネオーネ神父がかつてのローマ浴場の一部の上にドームをかけてつくったという、ラヴェンナで最も古い教会建築物の一つです。
レンガ造りというのがちょっと珍しい気がします。これは石材が取れる山が側に無いため手に入れづらく、また手に入れるにもお金がかかったから。それに地盤が弱く石材は重たくて沈んじゃう!ってことだったそうです。
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中はびっしりとモザイクで埋め尽くされています。天井ドーム部分にモザイク画、窓をはさんだ下側もモザイク(トップ画像と合わせてご覧ください)
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天井画全体図、真ん中にキリストの洗礼シーン、周りに12使徒、さらにその周りは書見台みたいなものや玉座みたいなのがぐるっと取り囲んでます。
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ヨルダン川でヨハネの洗礼を受けるキリストです。右にいるのはヨルダン川の神で手にキリストの脱いだ服と川の水源の瓶を持っています。
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水中の様子の繊細な色使いをモザイクで見事に表現しています。体がつやつやで若々しい感じ!
でも見れば見るほど納得のいかない点があるのです。これだけ見事なモザイクなのにキリストのお顔が浮かない、というかむしろ浮いちゃっているというか。洗礼を受けたのは若い時期のはずなのにおじいさんみたいな風貌だし、洗礼者ヨハネよりずっと年を取っているし。キリストを神格化させるための演出なのでしょうか?しかしオーラがないなあ。。。色合いも平板ですよね。

12使徒たちのお顔と比べてみました。
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一番適当に作られてる感じがするんですが。。。

一応調べてみました。やはりお顔付近はのちの時代に手を加えているようですね。
私にはこの下の写真に含まれる部分ほぼ全部、後代のもののように見えました。背景にピカピカの金を用いているあたりです。

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正解が知りたいものですね。

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