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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

ダルマティアはダルメシアンのふるさとです

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スプリット考古学博物館のモザイク群 スプリット クロアチア

ローマに来たことがある方ならご存知でしょうが、ローマの玄関口であるテルミニ駅のすぐ前に大規模な浴場跡があります。その名はディオクレティアヌスの浴場跡、古代ローマ帝国の皇帝の名を冠しています。
ディオクレティアヌスといえば「四分割統治(テトラルキア)」、世界史の教科書にも登場する超がつく有名人です。衰亡期にある帝国で国の直面している危機を正しく認識し、国の構造を改造した才能あふれる皇帝でした。

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ディオクレティアヌス浴場跡とディオクレティアヌス帝の胸像

彼はイリリクム属州ダルマティアはサロナの出身で、奴隷の身分からその才能で頭角を現しついに皇帝まで上り詰めたという、日本で言うところの秀吉みたいな方です。そして歴代皇帝の中で初めて「引退」の形で皇帝の座を明け渡しました。それまでは皇帝の交代はその死によるものが常だったのです。彼は故郷ダルマティアに宮殿をたてそこで隠棲しました。

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ディオクレティアヌス宮殿の再現図と現在の旧市街立体模型

今回訪れたスプリット、そこが彼が余生を過ごすために建てた宮殿のあった場所です。なんとその宮殿はまだ残っており、旧市街の一部として現在も使われ続けています。生きている遺跡という意味でも大変珍しく、それだけでも一見の価値あり!です。

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そしてスプリットから数キロ離れたところに、往時の中心都市であったサロナの遺跡が残っています。今では中心地と郊外の位置付けが完全に逆転していますが。
クロアチアを代表するローマ遺跡だそうですが、残念ながら基礎部分のみが残っている所が大半で、あまり保存状態は良くないです。自然を楽しみつつお散歩しながらちょっと遺跡を見るような感じでしょうか。エリアは大変広く、大規模なまちがあったんだなぁと実感します。
たっぷり歩いたあとに見つけた円形劇場跡、比較的保存状態が良い方ですが写真のような感じです。

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こちら遺跡の入口付近にあったEpiscopal centerです。複合教会施設と訳したらいいのでしょうか?5〜6世紀ごろの建物の跡です。おそらくポレチュのエウフラシウス教会のようなものがあったのだと思いますが、保存状態があまりに違います。
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サロナ遺跡で見かけたモザイク片です。
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遺跡を見た後は、スプリット考古学博物館へ。スプリットやサロナの発掘品を見に行きます。
この博物館は1820年に開館しており、クロアチア最古のものなのだそうです。
入口に入ってすぐに回廊があるのですが、こちらにモザイクや彫像、石棺などが並んでいます。
建物に入ってないので、まだ入場料を払っていないんですけど、いいのかなぁ。

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回廊内で見つけたモザイク、無防備に置かれているのですがかなりの大物ですし、結構作りが細やかなんです。
だいたいどれもが3世紀ごろ、ちょうどディオクレティアヌス帝が生きていた頃のものです。
ダルマティア属州都サロナにそれだけ文化が栄えていた証拠かなと思います。

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トップ画像の一部をアップ。肌の色など丁寧に作られていますよね。
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この他にも、文字の入ったモザイク片が数点ありました。
考古学博物館はちゃんとお金を払って中も見ました。こじんまりとしていてあっという間に見終わりました。

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テレタビーズっぽいこの子は何者だったのでしょうか?

プーラでぶらぶら

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「ディルケの罰」のモザイク プーラ クロアチア

イストラ半島の目玉エウフラシウス聖堂を見終わったので、後はのんびりとリゾート気分で観光です。

ロヴィニの街は生活感あふれる街並みや、海辺につながる路地が印象的でした。
楕円形の町を海側から見るとさらに素敵なようです。

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そして世界6番目と言われる円形闘技場を見に半島の先っちょにあるプーラへ。
この円形闘技場、その美しさにおいては私的ランキングNo.1!なのです。
中はすっかりと崩れてしまってますが、なぜか外側だけが1周分きれいに残っているのです。
大理石の白さがクロアチアの青空にくっきりと際立っていて素敵でした。

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せっかくここまで来たので博物館に行ってみます。
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博物館にはプーラ近郊のモザイクの展示がありました。
点数はそこそこあるのですがモザイク片が多いです。

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こちらは紀元前1世紀後期ヘレニズムのモザイク、劇のシーンを描いたものです。
ガラス越しで見づらいですが、紀元前でこの細かさ!すごくないですか?

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6世紀半ばに建てられたサンタ・マリア・フォルモーザ礼拝堂のアプシスにあったモザイクの一部
お髭の無い若いキリストの姿と聖ペテロ?(←この”?”は現地の説明文のままです)

床には古代ローマのモザイクが埋まってました。

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さて場所は変わって旧市街です。
南西にある紀元1世紀に建てられたセルギ門をくぐり、まっすぐ伸びる路地を進みます。

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しばらく歩いて行くとショップが立ち並ぶエリアになります。
その中に、オフィス風の入り口と地味な看板が目に入りました。

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ここを通り抜けるとモザイクが見られるようです。
あ、ありました!建物で覆われていて柵越しで覗き込みます。

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全体図
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反対側からも

全くのノーチェックでした。
床一面きっちりと残っているモザイクが見られるとは思わず、ビックリ感激!
上写真の説明文によると2〜3世紀ごろのモザイクで古代ローマ時代の邸宅の中央ホールにあったもののようです。

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右側

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左側

左側の中央部に描かれていたのが「ディルケの罰」です。

ギリシア神話にあるお話だそうですが、私は知りませんでした。
上の二人の若い男性は双子で、彼らの母親が下にいる女性(=ディルケ)の奴隷としてこき使われてました。
ある日彼らは牛を引く奴隷と行き合い、それが母親であることを知ります。
怒った二人はそこにいたディルケを牛に括り付けて復讐する、、、のだとか。

この絵柄だとディルケの方が気の毒に見えますね。

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そうそう、博物館のキリストモザイクがあったサンタ・マリア・フォルモーザ礼拝堂はこの近辺にあったようです。

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