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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

ミラノだってモザイク

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サンタンブロージョ教会内、礼拝堂サン・ヴィットーレ・イン・チェル・ドーロのモザイク ミラノ イタリア

一般的にミラノってなぜかモザイクのイメージがないですよね。
「ミラノ モザイク」で検索をかけると出てくるのはほとんどガッレリアのモザイク。特にかかとでグルグルするあの雄牛のモザイクです。
他に見所も多くグルメやお買い物も楽しい街なのでついつい後回しになっちゃうのも仕方ないのでしょうが、この街にも初期キリスト教時代の魅力的な作品があります。なので2回に分けてご紹介したいと思います。

まず今回はミラノの守護聖人アンブロージョを祀るミラノ最古の教会、サンタンブロージョ教会です。
外観はこんな感じです。

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386年に建てられたと言われるだけあって素朴な感じ、、、と思いきや、9世紀と11〜12世紀ごろに大改築がありロンバルディアロマネスク建築の傑作と呼ばれるものとなってます。
鐘楼はバジリカ様式っぽいですけどね。古代の部分もいい感じに残して融合したのかも知れません。

中に入ると教会には珍しく回廊で囲まれた中庭がありました。
教会の前のアトリウム(中庭)で思い出したのがポレチュのエウフラシウス大聖堂です。ミラノ勅令がおりて間も無い4世紀ごろ、教会には入口前にアトリウムがあったという話がありました。同じ時代に建てられたサンタンブロージョ教会はちゃんとそのスタイルが残っていたのです!!

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この中庭にかわいいロマネスク装飾がありました。

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建物の中に入ったところです。
暗い内部の中、モザイクのある後陣だけライトアップされてました。

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前に進んでアップで見てみましょう

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手前にある天蓋の影が邪魔な感じです。
完全に邪魔者扱いにしてますが、本来はモザイクよりもこちらの方が価値のあるものだそうです。

後陣に配されたのはパントクラトールのモザイク。
オリジナルは4世紀に作られ9世紀に一度改修されてます。残念なことに第二次世界大戦の折に爆撃で破壊されてしまい、戦後残っていたテッセラを集めて作り直しました。
絵柄など初期キリスト教のような風合いを残していて、当時の雰囲気を楽しむには充分な出来です。
でも価値としては低いのかなぁ、あまり詳しい情報が載っているものを見つけられませんでした。
仕上がりは見ての通りです。あまり近寄って見ないほうがいいのかも(笑)

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大きくイエス様や聖人たちが描かれている中、端っこの下の方に聖アンブロージョの日々の様子が描かれてます。

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ここまでが前段、いよいよ本命に向かいます。
祭壇右側奥にある礼拝堂サン・ヴィットーレ・イン・チェル・ドーロです。殉教者ヴィットーレの遺体を安置するために、 マテーノ司教によって316〜328年に建設されました。

まずは入ったところ

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美しい前室の奥にモザイクのある小部屋があるのですが間には鉄柵があります。
中に入れず鉄柵ごしの撮影になりとっても大変でした。

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こちらがミラノでも有名な初期キリスト教時代のモザイクです。5世紀にごろに作られました。
中央にいるのは聖人ヴィットーレ。円蓋を覆う金色はすっかりと退色して、いぶし金色の渋い空間です。かつてはキラキラと眩ゆかったのでしょうか?

円蓋の周りの壁に聖人たちが配されてます。聖アンブロージョは左の壁の中央にいます。モザイクは聖アンブロージョが存命中に作られたそうです。だったらよく似てるのかも。お顔をよく見たいのですが、この角度からではわかりにくいです。

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このクオリティの高い作品の中で異彩を放っているのが4隅にいる不思議な生き物たちです。最初は福音書家と思ったのですが、ライオンに当たる生き物があまりにもらしくなくて首を傾げてしまいました。
モザイクも明らかにテイストが違うので時代が違うのか作者が違うのか。目が離せない不思議な味のある絵柄です。

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礼拝堂への通り道辺りにこんなものもありました。
パネルによると「最初の教会の後陣に飾られていたモザイクの一部」だそうです。

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リキヤ遺跡とモザイクと4

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アリカンダ遺跡のモザイク群 フィニケ郊外 トルコ

リキヤシリーズ最後の記事です。

アンタルヤの西南120キロほどの海沿いにフィニケという港町があります。紀元前5世紀頃にフェニキア人によって造られた街で古代より貿易港として栄えていたそうです。
アリカンダはフィニケから40キロほど北上した山あいにありました。

アリカンダという町の名は古代アナトリアからあり、紀元前2千年紀まで遡ることができます。すぐ隣に大きな岩があったため「高い岩の隣の場所」を意味するこの名がつきました。リキヤ最古のコイン(紀元前5世紀)がここから発掘されたそうです。この町はビザンチン時代まで続きました。

斜面地にあるので高低差がすごいです。街が階段状になっているのです。
私も典型的日本人で観光プランをてんこ盛りにしちゃうのですが、普通の平地だと思っていたので割り当て時間が短すぎました。おかげで坂道や階段をヒーヒー言いながら駆けずり回ることになりました。
なのであまりゆっくりと景色を楽しむ余裕がなかったのですが、写真で見返すと良いところだったんだなあとしみじみ思います。のどかで絵になる美しい遺跡です。時間に余裕を持って出かければ楽しめただろうな。

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一番目立つ建物は劇場、2世紀に建てられました。保存の状態がすごくいいです。上に登ると古代都市アリカンダの街の景色がよく見えます。
劇場の上まで登ると上のアゴラまではすぐです。確か神殿のようなものがあったと記憶してます。
この他にめぼしいものとしてはオデオン、スタジアム、ブルテリオンあたりでしょうか。意外と広かったです。

そしてなかなかモザイクらしきものが見当たりません。
散々歩き回った後にようやく下の方に屋根のかかったエリアがあることに気づきました。
なんてことはない、遺跡の一番下の層、入口を入ってすぐの所にあったのです。上の四番目の写真に写っているのがそれです。

最下層にはリキヤ最大級の複合浴場施設がありました。その隣に古代ギリシア時代のアゴラがあり12の店舗が並んでました。それぞれの部屋の床にモザイクが施されていたのです。

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ここにたどり着くまで、長かった。
落ち着いて周りを見てればもう少し効率的に回れたのに、、、
最後に見つけた時の脱力感たるや、言葉では表せません。

でも入口すぐにモザイクを見つけちゃっていたら、階段だらけの遺跡を果たしてここまで歩き回れたかどうか、、、
きっと途中でくじけて諦めたでしょう。
心置き無く堪能できたし、ここでご披露できる写真も撮れたし、ようやく「良かったな!」と思えるような気がします。


アリカンダへの通り道には小さな滝のそばにある小さな市がありました。

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地元ごはん、美味しかったです!

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