ミラノだってモザイク その2
サン・ロレンツォ・マッジョーレ聖堂内、聖アクイリーノ礼拝堂のモザイク ミラノ イタリア
前回に引き続き、ミラノの初期キリスト教時代のモザイクです。
今回はさらに古く紀元前4世紀!!のころののモザイク画、初期キリスト教時代の中でも最古クラスです。
ミラノのモザイクも侮るなかれです。
サン・ロレンツォ・マッジョーレ聖堂の前にはローマ時代の16本のコリント式列柱がずらりと並んでいます。
そして正面にはコンスタンティヌス1世の像、ミラノ勅令を記念して建てられたもののレプリカです。
まさに4世紀の世界さながらという感じです。
サン・ロレンツォ・マッジョーレ聖堂はもともと4世紀末から5世紀にかけて建てられたものなのですが、何世紀もかけて改装や改築を重ねてきたので、表から見る限りはそんなに古い教会とは思えません。
内部は装飾もあまりなく簡素です。奥行きを感じさせない集中式プランで作られているのでビザンティン教会や正教会を思わせます。
前回のサンタンブロージョ教会は以前のバシリカをそのまま継続して使っていたのに対し、こちらはミラノ勅令後にわざわざ新たに建てられた教会なのです。しかも当時流行りのビザンティン様式です。どことなく権威的なものを感じます。
では聖堂の右奥にある聖アクイリーノ礼拝堂に進みましょう。
礼拝堂の中はがらんとしててとっても暗く、窓からの採光が頼りです。もし日程に余裕があるなら天気や時間帯を考えて行った方がいいかもしれません。
八角形の空間は洗礼堂とも霊廟とも言われているようですが、私はローマのサンタ・コンスタンツァ廟を思い出しました。
八角形のうち出入口を除くそれぞれの面にニッチがありフレスコ画やモザイク画で装飾されています。モザイク画が残っていたのは2面だけでした。
そのうち完全な形で残っているのは右手にあるわずかに1つだけ、こちらの「使徒に囲まれるキリスト」です。
初期キリスト教時代の特徴の一つ、お髭がなく若々しいお顔のキリストです。
周りにいるのは12人の使徒たち。キリストの右側巻物を手にしているのは聖パウロだそうです。
お顔にも金色のテッセラが使われてて神々しいです。
もう一方は損傷がかなり激しいですが、白い馬らしきものと羊飼いたちが見て取れます。
太陽の馬車で地球を照らしている様子を表しているそうで、「エリアの昇天」を表すと考えられていましたが sol invictus(不敗の太陽神)を表すと特定されたそうです。
こちらはガッラ・プラキーディアの石棺と言われているものです。
でもなんで?ラヴェンナにブラキーディア廟があるのに不思議です。
見終わって戻るときに前室部分にもモザイクがあるのに気付きました。聖人が並んでます。
同時代のものでしょうか?なかなかのクォリティだと思うのですが、残念ながら情報が見つかりませんでした。
教会を出てもう一度この景色。
4世紀を堪能できるモザイク旅でした。