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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

ビザンチンの総本山 アヤソフィアその2

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デイシス 他 アヤソフィアのモザイク群 イスタンブール トルコ

アヤソフィアの2階です。正面に向かって右側の回廊を進んで行くと、大理石の扉が現れました。6世紀の物だそうで、この壁の先が皇帝の私室空間だそうです。

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この扉を抜けると、、、

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いきなり真打ち登場です。「デイシス」が現れました。こんなところにあったんですね。
私室にあったとは、とても意外でした。
ビザンチンの最高傑作は皇帝を中心にごくごく一部の人の目にしか触れないところにあったのです。

ギリシア語で祈り、嘆願を意味する「デイシス」は1261年皇帝となったミハイル8世によって作られたと推察されています。証拠となるものはないのですが、この時期皇帝はアヤソフィアのの大規模修復工事を命じているのです。とある同時代の人の言によれば「イタリア人が色々と変えてしまった聖堂全体を、皇帝が元に戻した」のだとか。

ミハイル8世が皇帝になる前に何があったのか? ラテン帝国による征服です。かの悪名高き第4次十字軍によるコンスタンティノープルの陥落
実はこの作品の向かいの足元に第4次十字軍のリーダーのベネツィア人エンリコ・ダンドロの墓があります。
この墓の前に作られたデイシスに皇帝はどんな願いを込めたのでしょう? より強いビザンチン帝国を!でしょうか。

改めて作品を正面からじっくりと見てみましょう。
こうやって見ると本当に大きな作品です。
1204年に征服されてから奪還するまでの60年弱の間、モザイクの製作が途絶えた時代がありました。その間職人たちはどこで何をやって生活をしていたのか? よくぞ技術が途絶えなかったものです。
久しぶりの大規模プロジェクトにさぞかし力が入ったことでしょう。当時の技術の粋を集めて作ったのでしょうね。

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現地で見てひとつ納得したことがあります。それはマリア様のお肌の色合いです。
それまで写真などで見ていて、随分とお肌のトーンが暗いなと思ってました。「デイシス」のタイトルと重ね合わせ、彼女の表情にいっそうの憂いを感じてたのです。
しかし現場に立つと思ったほど暗い表情には見えませんでした。憂もなくひたすら静かに見守っているようです。
彼女の肌の色は、左の窓の光が作る影とピッタリと合っていたのです。

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当時はこんな風にアップにされて見ることは想定してなかったでしょう

あとは写真で作品をご堪能ください。

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同じ金のテッセラなのに光輪の十字部分だけがキラキラです

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麗しい手の表情

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鱗を思わせる背景の金のテッセラの並べ方

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モノトーンに見えていた洗礼者ヨハネの服は緑色でした。
ゴツゴツとした顔立ち、節くれだった労働者のような手がキリストのそれとは対照的です。男臭さを感じさせる聖人像です。

この近くから大ホールを見ると正面の窓の下、ティンパヌムという場所に聖人たちのモザイクが見えます。

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ここまでくるとドーム天井のモザイクも良く見えます。

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この時、4隅のペンデンティブにいる天使ゼラフィムに注目してください。1箇所だけモザイクでできた天使の顔がよく見えます。

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今回はここまで
次回は皇帝の私室にあるその他のモザイクをご紹介します。

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