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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

ビザンチンの総本山 アヤソフィアその4

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アヤソフィアのモザイク群 イスタンブール トルコ

場所は変わって聖堂の右側から左側へ移動してきました。

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後陣の半ドーム型の天井部分に天使の姿が見えます。

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大天使ガブリエル 870年代?

後陣の聖母子増と同時代のものだそうです。大変麗しいお姿です。
聖母子像の異様な小顔ぶりから比較するとまともなバランス、9頭身ぐらいでしょうか。
左手には球状のもの(宝珠?)右手には長い棒状の物(杖?槍?)を携えています。
この持ち物のせいで、一見ミカエルっぽく思えてしまい、私自身混乱しているのですが、ガブリエルとして紹介しているものがほとんどなのでそうなのでしょう。顔立ちが女性的な感じですし。
アトリビュートとかもっと後の時代で作られたルールなんでしょうね。

アヤソフィアには9世紀から13世紀と様々な時代のビザンチンモザイクが一気に見られるのですが、なぜか9世紀の聖母子や大天使ガブリエルが一番新しい感じの絵柄にみえてしまうという不思議さ。
こういうのポスターであったら飾ってもいいかな。

これで大物は一通り見たはず、出口に向かって順路を進みます。
とはいえやっぱり天井の方、ところどころキラキラしていて気になります。

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そしてさらに気になるものがありました。

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十字架を隠すように施されたモチーフ、これはいったいどういう現象なのでしょう?
モザイクなら剥がして作り変えれるはずですが、うーむ。

出口間際のところ、前方の視界にモザイクが入ってきました。
よく見ると鏡に映っています。
「後方にありますよ、忘れずに見てください!」ってところでしょうか。

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作品は最初の頃にご紹介した「聖母子、ユスティニアヌス1世とコンスタンティヌス1世」です。

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これでアヤソフィアはおしまいです。

お疲れ様でした。
最後にこの子で癒されてください。

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ビザンチンの総本山 アヤソフィアその3

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アヤソフィアのモザイク群 イスタンブール トルコ

前回に引き続き皇帝の私室の中です。デイシスを見てそのまま奥に進むと次のモザイクが見えてきました。

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外からの光が強いため肝心のモザイクが暗くて見づらいですが、窓を挟んで2組の皇帝夫妻がモザイクで描かれています。
皇帝の即位順に見ていきましょう。まずは左側です。

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キリストと皇帝コンスタンティノス9世・ゾエ夫妻(1042年から1055年頃)

なかなかコミカルな表情のキリストです。
皇后ゾエが気になるのでしょうか? 視線がそちらに向いています。

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見れば見るほど色々とツッコミを入れたくなるパーツがいっぱいです。主に顔近辺に。
なぜそこを縁取った? とか なぜそこの線を繋げちゃったのか? とか
陰影をつけているのになぜか立体的に見えてこない残念感とか
唐突に生えているように見える指とか、、、、
こんなにツッコミ待ちの状態のキリスト、そうそういないですよ。
でもいろいろ構って見てるうちに、このキリスト様大好きになってしまいました。
疲れているときに見ると癒されそうな気がします。

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皇后ゾエ、50歳で初めて嫁ぎその後2回も再婚したそうです。
最初は政略結婚でかなり年上のロマノス3世、次は年下のイケメンミカエル4世。彼の病没後にもう一度コンスタンティノス9世と。
ゾエの顔は若々しく少女のような表情です。
こちらも単純な線を用いてますが、絵の上手な人がサラサラっと描いたような綺麗な顔です。

よく見ると顔の周り全体に一度剥がしたような痕跡があり、周りとの色やタッチの違いから明らかに顔を作り変えた様子が伺えます。
おそらく最初は正面を向いていたと思われます。
後世のの修復?とも思ったのですが、キリストのお顔と同時代っぽいし、キリスト<皇后 なお顔のクオリティなので、皇后が生きていた時代の作り直しもあり得えそうです。(皇后自身のゴリ押しがあったと勝手な想像してます)

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皇帝コンスタンティノス9世です。こちらも顔部分の不自然な感じは否めません。
でも皇帝の顔の場合、明らかな理由がありますよね。皇后の再婚です。その度に作り直したというのが通説らしいです。
顔に使われているテッセラの色合いや、特徴的なまぶたの描き方が前者2人と似ています。
本来なら皇帝の顔だけ作り変えても良かったのでしょうが、あまりにもテイストが違いすぎるので、2人の顔も作り変える羽目になった、、、かもしれません。
顔だけではなく左上の碑文も書き換えの跡がはっきりとわかります。

皇帝から見たら顔の謎は早くに解けたのでしょうが、コミカルキリスト様に翻弄されてしまいました。

こちらの作品の制作時期は最終形態が仕上がった時期ということで、コンスタンティノス9世の在位期間に一致してますが、通説通りなら手に金袋を持っている体はロマノス3世で、彼がこのモザイクを寄進したことになります。
つまり大部分はロマノス3世の在位期間である1028年 - 1034年に作られていると思われます。


右側の作品に移りましょう。

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聖母子と皇帝ヨハネス2世コムネノス夫妻(1122年から1134年頃)

この作品実はこんな風に↓紹介したほうがいいと思うんです。

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そう、実は隣にもう一人、長男のアレクシオスがいるんです。

この部屋の入口は右の方にあり、入口に近い所から見ると最初の写真のようなフォーマルな皇帝夫妻像しか見えません。皇子の姿は右側の柱の陰に隠れてしまいます。
でも奥まで入れる人は特別に、家族写真のような絵を見ることが出来るのです。ちょっとした視覚の仕掛けですね。

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アレクシオスは肌の色艶が良く健康的、目元がハッキリして利発そうに見えます。

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ヨハネス2世コムネノスは「カロヨハネス(心美しきヨハネス)」と讃えられ、歴代の東ローマ皇帝の中でも屈指の名君であると評価されるほどの、素晴らしい方だったようです。
このモザイク作品から受ける印象でも、既に左側にあった作品と調和が取れるように構図を踏襲していることや、お顔の表現も聖母子を一番にしているところなど、抑制的で理性的なセンスがあったように思えます。その上、ちょっとした仕掛けを楽しむ遊び心もあって、いい上司だろうなと想像します。

アレクシオスももしかすると優秀な期待の長男だったのかもしれません。しかし残念なことにヨハネス2世が皇位を譲る前に他界してしまいました。

こちらはコンスタンティノープルに残る唯一の12世紀のモザイク画なのだそうです。

今回はこのまま最後まで書くつもりでしたが、思いの外あれこれと書きすぎて長くなってしまいました。
残りは短めですが、次回にします。

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