fc2ブログ

Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

モザイクで見るアレクサンドロス大王

RIMG0567.jpg

ナポリ国立考古学博物館所蔵「イッソスの戦い」 イタリア

古代ローマモザイクをやっているとこのお方は欠かせないですよね。

alex.png生まれはマケドニア王国のペラ。父親はマケドニア王フィリッポス二世です。このお父様はなかなかの戦術家だったそうで、長槍を携えた重装歩兵を最初に有効に活用した方のようです。6mぐらいの長槍部隊を大型化し密集させて突進させるんだとか。素人の想像ですがかなりの迫力がありそうですね。このマケドニア式のファランクスを使った新戦術は無敵だったそうです。

右はそのペラで発見された小石モザイクの代表作の一つ「ライオンと闘うアレクサンドロス」の一部。若き日のアレクサンドロスと言われてます。なかなか麗しいお姿ですねー。いつか行って本物を見てみたいものです。

20歳の若さでマケドニア王を継承したアレクサンドロスはこのファランクス部隊を従えて大遠征を始めます。当時の対戦相手はアケメネス朝ペルシア。その最後の王と戦った場所が現在のトルコに当たるイッソスだったのです。ダレイオス3世が率いる軍は十万、対するアレクサンドロス軍はギリシアの同盟軍を加えても4万に満たなかったのだそうです。でも歴史の結果を知っている私たちは、数の差をものともせずにアレクサンドロスが勝利したことが想像できます。

RIMG0559.jpg

なぜこんなことを延々と説明したかと言いますと、こちらのモザイク画、わたし今まで後ろにある槍はダレイオス3世の軍勢のものとばかり思っていたからなのです。位置関係から素直に見ると、そう思えますよね?だから普通の対戦シーンだと何の疑問も持たずに見てました。
でもこの槍がマケドニアのファランクスのものとなると、話は全く変わってきます。というかダレイオス3世、マケドニア軍に回り込まれて絶体絶命のピンチじゃないですか?

RIMG0560.jpg

危険を察知して退却すべく馬車の向きを変えようと必死の御者、突然鞭打たれて馬達は慌てふためくものの足並みがそろわずもつれてます。
そしてアレクサンドロスは目前の敵将にトドメを刺すべくしっかりと前を見据えているところ、なのですね。

「マケドニアには最強の長槍部隊があった」
そんな一言を耳にしたところからこの記事を作りました。

皆様の目にはこの作品はどんな風に映っていましたか?

RIMG0558.jpg

2 Comments

Love アレキサンダー says..."なるほど!"
アレキサンダーの美しさにみとれ、
そしてようやくナポリで会えたこのモザイクの本物を見てその細かさに圧倒され、
全体の構成をみる余裕が全くなかった私。
なるほど、長槍を通してみると、ますます生き生きとこの戦いの場面が蘇ってくるんですね!う〜ん このモザイクがどれだけの人たちの目に触れて何が語られてきたかとおもうと。鳥肌たってきます。
Akikoさんのブログ、毎回視点が違ってほんと楽しみです!



2015.06.02 21:34 | URL | #n.Y9dxIQ [edit]
Akiko K says..."Re: なるほど!"
>Love アレキサンダー さま

嬉しいコメントをありがとうございます。

私もこのモザイクを初めて見たときは、「ほ、本物だー!」と
ただただ感動して、冷静に見ることはできませんでした。

> う〜ん このモザイクがどれだけの人たちの目に触れて何が語られてきたかとおもうと。鳥肌たってきます。
本当に凄いことですよね。
どんな時代の人たちがどんな国の人たちがどんな風に受け止めてきたのか。
Love アレキサンダー の言葉で改めてじわじわと感動が湧いてきました。
時代を超え、こうやって極東で語られてるというのもなかなかのもんです。

2015.06.02 23:13 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

該当の記事は見つかりませんでした。