緑いっぱいの地に緑なモザイク
サンタポリナーレ・イン・クラッセ ラヴェンナ イタリア
今回からしばらくラヴェンナシリーズです。
モザイクをやるにはここは外せません。町の中に見所が多数あるので数回にわたってお届けする予定です。
ラヴェンナの周辺に来てローマと違うなと思ったのは、とっても土地が平坦なこと。視界一面が起伏のない風景はちょっと珍しい感じがします。ラヴェンナの南にあるクラッセもそんな中にあります。
このクラッセにはアウグストゥスがアドリア海の重要な水軍の基地にするためにつくらせた昔の軍港跡があります。今は何の変哲も無い普通の平地ですが、昔は沼沢地でベネチアのように小島が多く川や水路の多い場所だったのだそうです。この立地条件がラヴェンナの運命を大きく変えます。
時代が下がって4世紀の終わりごろからゲルマン民族の侵入が激しくなります。結果、ローマ帝国が東西に分裂し、東の拠点はコンスタンティノープルに西はミラノになります。しかし、ミラノはあまりに攻められやすい場所にありました。まあ当時の皇帝ホノリウスが無能で臆病だったのでつけ込まれたところもあったのでしょう。代わりに有能なスティリコ将軍が逃げ場所として、ここラヴェンナを選んだのです。というのも、ゲルマン民族は陸上戦は得意だったのですがが入り組んだ入江は責めにくかったらからだそうです。
そんな経緯から5世紀にラヴェンナは西ローマ帝国の拠点となり、これをきっかけに都市として栄えていきます。
そして臆病者ホノリウスに変わり頑張ったのが妹プラキディア、この町がモザイクの町になったのも彼女の貢献によるものが大きいのだそうです。以前、コンスタンティノープルに嫁いでいた時にガラスモザイク芸術を見て影響をうけたようですね。
このあたり考古学地域として発掘が進んでいるようですが、今回は遺跡は全面的にパス ← ちょっと珍しい
早速教会に向かいます。
さて教会に入ってすぐ目につくのが内陣にあるモザイクです。列柱の上もカラフルですがこちらはフレスコ画、なのでまっしぐらに前に進みます。
上のブルーの段にはキリストと4人の福音書家、そして下の内陣には聖アポリナーレが信者(羊)に教えを説いているシーンが描かれています。
眉間にしわを寄せていかめしい顔つきのキリスト
聖マルコと聖ルカ 下の羊は12使徒を表しています
聖アポリナーレのアップ
信者(羊)のお顔にも個性があります。このお方はなかなかのイケメン。
こころがほっこりとする絵柄
背景の3匹の羊はペテロ、ヨハネ、ヤコブを表現しているそうです。ではこの2匹はだれとだれ?
十字架のど真ん中にキリストのお顔が。下にはギリシア語で「世界の救済」とあります。
その左にいるのはモーゼですが、若くてなかなかのイケメンです!
少しぶれてます。空からは神の手が(この時代は神は手で表現されていました)
窓の周りには歴代のラヴェンナ司教
アベル、メルキゼデク、アブラハムが神に捧げ物をするところ アブラハムの捧げ物は息子のイサク
司教レパラトゥスや皇帝コンスタンティノス4世がいるそうです 皆さん目の隈がすごいんですけど
教会の一角には昔の床がのぞいてました。
こちらの床のほうが緑がさらに映えそうな気がしました。
追記
ラヴェンナつながりでこんな情報を見つけました。
夏の夜のラヴェンナのモザイクを楽しむチャンスです。旅行に行かれる方はプランに加えてみては?
ラヴェンナの夏 2015
【モザイコ・ディ・ノッテ / Mosaico di Notte 2015】
【ガッラ・プラチディア廟堂の宵/Sotto le Stelle di Galla Placidia 2015】
詳しい情報はイタリア政府観光局の公式サイトへ
※あくまでも私個人がたまたま見つけた情報です。当方一切の責任を負いかねますので悪しからずご了承ください。