エーゲ海とモザイクと4
トリトンとネレイドのモザイク「傾斜面の住宅」のモザイク群より エフェス トルコ
エフェスは規模といい保存状態といい、エーゲ海沿岸屈指の遺跡です。
歴史を遡れば伝説級のストーリーなら紀元前1000年ごろから、記録の残っているものでは紀元前7世紀ごろからその名は登場するようです。ペルシャ帝国の支配下になったり、ペロポネソス戦争に参加したり、アレクサンドロス大王の支配下になったり。あ、エジプトのプトレマイオス朝の支配下にもなりました。あのハンニバルもここに逃れてきているようです。ローマ時代になって東西に分割されても超有名どころの固有名詞が次々と並びます。それだけ歴史的にも重要なところだったのですね。
エフェスの遺跡はL字状の2つのメインストリートを中心に広がっています。そしてL字の交差部分にほど近いところに「傾斜面の住宅」があります。まちのど真ん中、超高級物件ですよね。その立地たるや素晴らしいものです。まず建物を出てすぐ右手、クレテス通り沿いにおしゃれなストアが並びます。大理石の列柱にモザイクの歩道、屋根もかかってました。
奥に見える屋根のかかった建物が傾斜面の住宅です
通り沿いにはハドリアヌスの神殿やトラヤヌスの泉などの建築物のほか彫刻や碑文などもゴロゴロあります。華やかな道だったんでしょうね。
もう一つのメインストリート大理石通りに入ってすぐのところには世界屈指の蔵書を誇るケルスス図書館。隣接するアゴラ門をくぐると大規模な商業アゴラ、お買い物には事欠かなさそうです。10分程歩いた所には収容人数2万5千人の大劇場。ここからまっすぐ伸びるアルカディアン通りは海まで繋がってました。
左:大理石通りから傾斜面の住宅をみたところ 右:アルカディアン通り
邸宅のお向かいに当たる一角には公衆トイレもありました。みんな一同に並んで用をたすんでしょうか?用をしながら世間話もするんでしょうか?邸宅の住人はここまでこなくても家にちゃんとトイレが付いていました。
そしてガイドブックに娼館と紹介されてた建物もあります。都会の一等地に中庭があってモザイクがあってと随分と贅沢な造りの娼館だなと思ってたら、やっぱり間違いだったようで本当は邸宅だったようです。
モザイクはそれらしいところをうろうろと探したのですが見つけ切れませんでした。パネルで勘弁してください。
さてさて傾斜面の住宅の一等地っぷりをしみじみと実感したところで中に入ります!
なかなか保存状態の良い邸宅の集合体です。(入ってすぐはわかりませんけど)
入り口付近から幾何学模様のモザイクが見えてきてワクワク。のっけのモザイクは通路のガラスが曇っててよく見えなくて、おい!って感じですが、そんなこと忘れてしまうくらい次から次へと幾何学模様が現れてきます。っていうか普通に作業場所や保管場所にされてて扱われ方の適当さに笑ってしまいます。
こんな風に当時の建物の雰囲気を残しつつモザイクが見られるのは楽しいです。奥の上階から俯瞰もできるしまさにリアルグーグルアース状態。フレスコ画やカラフルな大理石の装飾も残ってます。
モザイクは1世紀前半のものと3世紀頃のものがあります。幾何学模様が1世紀半頃ってことでしょうか?
「ライオンの間」そのまんまです(笑)
横向きで見づらくてスミマセン。女性だと思ったらこのお方ディオニソスでした。
こちらはメドゥーサなのだそうです! あまりの可愛らしさにビックリ!!
トリトンとネレイドのモザイクは建物の一番奥にあります。
ネレイドはギリシャ神話に出てくる海のニンフです。トリトンの乗り物ヒッポカンポスに乗ってますがどういうシーンなんでしょうか?
上階の床を飾るモザイクたち
ネレイドモザイクはこの上部通路から眺めてました。ガラス張りの床で怖かった〜(軽い高所恐怖症です)
降りた所でもういっちょ!
ここはトルコ西部では最大級のモザイク群です。おかげであれもこれもと紹介したいものだらけで写真でいっぱいになってしまいました。
そうそう、傾斜面の住宅ですがブログ構成の都合で最後にご紹介しましたが、なかなか人気の場所です。じっくりと観光するならば、ツアーグループなどが到着する前の朝イチで見るのがオススメです。