中世の町で現代モザイクの父に出会う
ジーノ・セヴェリーニ作 サン・マルコ教会のモザイク コルトーナ イタリア
コルトーナはアレッツォの近く、トスカーナとウンブリアの州境にある高台の町です。小さな規模の町ですが観光地化されすぎず素朴で雰囲気満点のまちなみで私にとって印象深い町の一つです。
車でアクセスすると町の玄関に当たるガリバルディ広場に到着します。早速広場から素晴らしい眺め堪能し、近くでお疲れ様のビールで一杯。
私が訪ねたのは6月の初旬。偶然にもその日は年に一度のお祭りの日だったようで町全体がどことなく華やいだ雰囲気です。
夜になると民族衣装を身に纏った住民たちの行列が現れ、寸劇&パフォーマンスが始まりました。
GIF動画ファイルです。動かない時はクリックしてみてください。
翌朝、観光開始です。まずは中心部にあたる共和国広場へ。目の前にある高い塔の建物は市庁舎です。
中世という言葉がぴったりの壁の石の風合い。気分が盛り上がります。
ガイドブックに中世の街並みが残ると書いてあったのでジャンネッリ通りも行ってみました。木の片持ちばりと方杖で支えられ張り出した上層階が特徴らしいです。が、長い歳月を頑張ってきた木が悲鳴を上げているようにも見え、ちょっとかわいそう。
コルトーナの町はエトルリアに起源を発します。かの時代にはかなり重要な町だったようです。
ということは忘れてはいけません、考古学博物館。エトルリア・アカデミー博物館 に行ってみましょう。
博物館の中はこんな小さな町にもかかわらず(失礼)規模もそこそこありモダンでおしゃれな展示でした。目玉となる展示物はコルトーナの至宝と言われる「ブロンズの大燭台」。これは一見の価値ありです。古代ローマのモザイクも幾つか展示されていました。
博物館で思いの外、時間がかかってしまいました。旧市街から一旦ガリバルディ広場に戻り高台に向かいます。町一番のパノラマスポット、サンタ・マルゲリータ広場を目指すのです。きつめの坂道をえっちらおっちら。すると左手に現代アート風のモザイクが目に入ってきました。
小ぶりな教会には不似合いな異質な感じがします。最近作られたものかな?
そのまま急な坂道を歩き続けているうちに右手が開け、眼下にはトスカーナの大地が見えてきました。そして道端にはところどころに三角屋根の祠のようなものがあります。中にあるのはやはり新しい感じのモザイク画。
これはガイドブックに説明がありました。
このサンタ・マルゲリータ通り沿いにある12箇所のニッチにはジーノ・セヴェリーニによる「聖なる道」のモザイクがある、と。
確かにイエスの十字架の道行きのシーンが描かれてます。
そして偶然知ることになったモザイク作家、いったいどんな方だろうと調べてみました。
コルトーナの出身でモザイクのみならず画家としてもかなり有名な方だったようです。未来派のメンバーだったとか。パリ帰りの画家の影響を受け色彩分割(ディヴィジョニズム、点描主義)の技法を知ったということです。点描からモザイクへと発展させたんでしょうか。最初見た作品もやはり彼の手によるものでした。
また、とある英語のサイトにはThe Father of Modern Mosaicとの記述がありました。現代モザイクの父とは、、、図らずも貴重な作品たちに出会うことができました。
そして残念なことに、先ほど訪ねたエトルリア・アカデミー博物館 には彼の作品(絵画)もあったようですが気づかずにスルーしていました。不勉強だから仕方ないですね、これは。
ところで目的地であるはずだったサンタ・マルゲリータ広場、あまりの坂道とモザイクをたくさん見れた満足感でそのまま引き返してしまいました。
皆様はもっとスマートな旅ができますように。