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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

教会デビュー!!なローマンモザイク

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アクイレイア大聖堂のモザイク群 アクイレイア イタリア

今回取り上げるのはみんな大好きアクイレイアの大聖堂です。
床モザイクの規模もさることながら、そこに用いられているモチーフの豊かさといい可愛らしさといい、見ていてあきませんよね。見るだけではなく作ってみたくなる小品の宝庫でもあります。
なのでついついモザイクのカタログ的感覚で見ちゃうのですが、その成り立ちも興味深くなかなか面白いです。

私はモザイクに興味を持って初めてアクイレイアという町の名前を知りました。なのでイタリアの隅っこの小さな町だと思っていたのですが、古代ローマ時代は大事な大事な拠点都市だったようです。隅っこだから防衛の拠点として。
そんな町に建てられたのがアクイレイア大聖堂です。
なんと313年にコンスタンティヌス帝がミラノ勅令を出してキリスト教を承認するやいなや、司教テオドーロが建てた最初の教会。軍事の拠点だったまちはキリスト教布教の拠点にもなったのです。

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テオドーロの名前が入ったモザイク

キリスト教徒にとって地下や個人の邸宅がひそやかな集会の場所だったのに、これからは堂々と大きな建物が建てられるんです。それはそれは嬉しかったでしょう。その時代のありとあらゆる装飾の手段をそこに用いたんだろうな、というのは想像に難くありません。上屋の方は建て変わってしまったのですが、床のモザイクだけは4世紀そのままの状態で残っているので、その様子をひしと肌で感じてください。
モザイクで何を描こうか?何を表現しようか?とウキウキと試行錯誤をしているようにも見え、また若干その広い床を持て余しているようにも見え、想像の翼がひろがります。

主身廊の全体的な感じ
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この辺りは幾何学模様が多いですが、、、
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向かって右側の側廊には動物モチーフがいっぱい
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入り口方向に振り返ってみた
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細かいモチーフはモザイクを巡る旅アルバム編でたっぷりとご覧になれるので、こちらでは教会の雰囲気を。(池袋のYさん、またお世話になります)
幾何学模様や植物をモチーフにした飾り、動物や鳥が随所にあります。人の顔のメダイヨンは服装から聖人ではなく一般庶民の姿と思われます。寄進者を表しているのでしょうか? そして一番教会の奥の方に海をテーマとした一枚の大きなモザイク(トップ絵)があります。

ぱっと見は古代ローマの邸宅のモザイクと大差がないように見えます。前方ど真ん中にイエス様の姿があるわけでもないし、装飾のルールがなくて自由な感じです。でもよーく見てるとちょこちょこと教会らしいモチーフも見え隠れしてます。

わかりやすいのがこちらの「よき羊飼いで表されたキリスト」。ラヴェンナ()にもありました。
同じテーマのものを何度も見ているうちに、これはキリストを象徴的に表した絵であることがわかりました。初期キリスト教ではまだそのお姿を描くことは禁止だったようです。偶像崇拝禁止のユダヤ教の影響でしょうか。

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宗教的な内容がふんだんに盛り込まれているのが、海のシーンのモザイクです。
おそらくはこの教会の肝いりなのでしょう。
こちらのコミカルなシーンは旧約聖書のヨナ書の一部分。お魚に飲み込まれ3日3晩後に吐き出されるという、元祖ピノキオ状態の人。

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吐き出されるシーンがこの手前にあります。無事に助かってドヤ顔のヨナ
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こちらも宗教的モチーフなんだそうです。
漁をする天使たち。天使の網にかかった魚がキリスト教によって救われる信徒の象徴だというのだそうですが、、、

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この絵柄、アレによく似てません?
↓アレ=ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレの漁のシーンのモザイク
こちらには宗教的意味合いはもちろんありません。
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あれ?これってもしかしたらもしかして?
初期キリスト教では、既にある古代ローマの床モザイクのモチーフを布教に使っていたとか?(モザイクに限らないでしょうが)
これ1つで結論を出すには気が早すぎるでしょうけど。
でも、このストーリーの後付け感満載な感じが拭えない中、ここの教会の話はまだまだ続くのです。。。。


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ということは、この子たちはその他一般の人間たちってことですよね?

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