ニワトリとカメ
アクイレイア大聖堂のモザイク群 アクイレイア イタリア
今回も引き続きアクイレイアです。
前回の記事で教会の中のモザイク2枚目の写真、幾何学模様だけと思っていたら隅っこに大事な絵柄が写り込んでいました。
鶏と亀が向かい合っている姿です。
曰く鶏はキリスト教に目覚めた知恵のあるものの象徴で、亀はまだ気付かぬ無知なものの象徴なのだとか。
亀さんがおバカ扱いなんですね。ニワトリよりもおバカ。
でも亀って中国では知恵と長生きの象徴だし、日本も鶴と共に長寿の象徴、縁起物であります。古代インドの宇宙観では世界を支えているのが大亀でした。もしもしカメよカメさんよー のウサギとカメの元ネタはイソップ童話、古代ギリシャだってノロマではあるけど堅実な努力家であるイメージです。
なんだかとっても意外な気持ちがしました。
ともかくこのモチーフはこの教会でも代表的なものみたいで、お土産屋でもよく見かけました。
そんなことを頭の隅っこに残して、今回はこの教会の別の部屋にあるモザイク群をご紹介します。
教会の向かって左側にはクリプタ(地下聖堂)があります。
中に入って最初に目につくのは、素朴な素朴なモザイクたち。そうここはさらに古い時代に作られたモザイク群があるのです。1世紀ごろのものという記述をどこかで見た気がします。
そしてでっかい壁の周りには綺麗で新し目のモザイクがあります。こちらは教会の床と同じ時期に作られました。
でかい壁は後の時代に建てられた鐘楼の基壇部分。初期の信者たちが一生懸命考えて作ったであろうモザイクは、もうどうでもよかったんでしょうか? それとも周りにあった古代ローマ時代のモザイクと同じと勘違いして潰されちゃったのでしょうか?
こちらのコーナーにあるモザイクは一言で言えば美味しそう! 食材の宝庫に見えます。
ロブスターとシビレエイ(ヤマザキマリさんのツイッターでひところ盛り上がってました)
エスカルゴ
きのこ
これはキジでしょうか? 巣を作っているところだそうです
タコのようなイカのような
ヤギの隣にあるのはモッツァレラだとか
と例のモチーフ発見
うーん、この流れで見たら食材にしか見えませぬ。
都合のいい絵柄だけ引っ張り出して、ストーリーを盛っているのでは? ひねくれた私はやっぱりそう思うのでした。
あとがき
今回の記事は前回から比べてすっかりとトーンダウンしてしまいました。
というのも、最初の構想時にはこちらのクリプタのモザイクは全てローマ時代の邸宅のものと思い込んでいたためなんです。つまりニワトリとカメのモザイクも元々ローマ時代のモザイクを宗教用に転用したと勘違いしていたわけで、、、
記事を書くにあたり改めて調べ直したところ、鐘楼周りはAD314年とあり、あえなく撃沈。
苦しい仕上がりになってしまいました。