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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

ディオニュソスが怖いと思った日

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ペンテウスのモザイク ニーム考古学博物館 フランス

ディオニュソスに従兄弟がいたってご存知ですか?

この質問はおかしいですね。従兄弟の一人や二人いておかしくないですから。
ディオニュソスとその従兄弟にまつわるギリシア神話をご存知ですか?と言ったほうが正確でしょう。

その従兄弟が今回のモザイクの主役ペンテウスです。
こちらの図はお気の毒なことに女性に殺されそうになっているところです。
同じエピソード(エウリーピデースの悲劇『バッコスの信女』)の別の絵がポンペイのヴェッティの家に残っています。
こちらは複数の女性に襲われています。

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ディオニュソスの信仰といえばワイン、酩酊、秘儀、群がる女性たち、、、狂乱的で倒錯的な印象があります。
社会に秩序を求める人には歓迎されるものではありません。
テーバイ王であるペンテウスは従兄弟が布教するその信仰を禁じたのでした。
しかしそれに腹を立てたディオニュソスは信者である女性たちを焚きつけ、彼を切り裂きバラバラにさせるのです。そのクライマックスが母親であるアガウエーがわが子の首を切り落とすシーンです。
なんて刺激的で悲劇的なお話なのでしょう!

このモザイクが発掘されたのは2007年。発掘した学者さんによると、このお話をモチーフにしたモザイクはこれが唯一にして初めてなのだそうで、貴重なものだそうです。

発掘に関する情報はアルバム編に詳しく出てます。(昔の記事なので下の動画はリンクが切れているようです)
というか、こちらの記事がなかったら、またもや貴重な作品を見過ごすところでした。

発掘の様子を見ていると、大きく状態の良い床モザイクが見つかったようですね。
隣り合う2つの部屋にモザイクが施されていて、1つは客を迎えるレセプションルーム、もう一つは食事用の家具が置けそうなモザイクのない空きスペースがあったことから食堂ではないかと推察されてます。
ペンテウスのモザイクはレセプションルームにあったモザイクの中心部分でした。

ただ残念ながら、考古学博物館に展示されていたのはこの一部だけでした。残りは研究中?それとも他の場所に保管?展示?
私が訪れたのは3年前なので、展示物が刻々と変わっているかもしれません。増えているといいな。



ニームの考古学博物館には、他にもモザイクが複数あります。博物館の規模の割には充実しているので興味があればぜひ。

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