シチリアがモザイクの宝庫なのは彼のおかげ?
パレルモのマルトラーナ教会 シチリア イタリア
春のシチリア、のどかなぽかぽか陽気を期待していた私はかなり間違っていたようです。日差しはポカポカを通り越してすでにギラギラ。道端では日傘が売られています。これはお肌に良くありません。慌てて土産物屋さんで帽子を購入する羽目になりました。
私が今いるところはベッリーニ広場、3つの赤いクーポラが可愛いサン・カタルド教会の前です。その隣にあるマルトラーナ教会に入りたくて待っているところです。先ほどちらっと入ってみたらパスクワのミサをやってました。
ミサの邪魔にならない程度にこそこそと何枚か写真はとったものの、やっぱり物足りないです。
亀のような姿の老人は、ルッジェーロ2世王の命を受けこの教会を建てたジョルジョ・ダンティオキア提督
シチリアの初代国王になったルッジェーロ2世にキリストが戴冠する様子
このお方こそがシチリア各地にキラキラモザイクな建物をいくつも建てた張本人です。前回のチェファルの大聖堂もその一つ。王宮にあるパラティーナ礼拝堂も彼によるものです。モザイクファンとしてはありがたく崇めるべき?かもしれません。彼を含む歴代の王朝をオードヴィル朝というのだそうですが、東方との交易も多く、進んで東方文化を取り入れたのだそうです。
対立教皇がシチリア伯だった彼に王位を授けたことにより初代国王となりました。対立教皇という言葉、初めて聞きました。なんだか政治の匂いがプンプンします。きっとカトリックの世界ではいろいろと裏事情があったのでしょう。それにもかかわらず、そんなことは何処吹く風とばかりに東方の正教会を建てちゃって、モザイクにはキリストから直接戴冠してもらっている様子を表現してるのです。どういう心情でこの作品を作らせたのか、想像するとなかなか面白いものがあります。
キラキラモザイクの林、ウットリします。
さて改めて、実際にはここからしばらく時間が経つのですが、その他のモザイクもご紹介していきましょう。
4人の大天使に囲まれた玉座のキリスト
神の手から聖霊の鳩がビビビっとマリア様に、これはご懐妊の瞬間ですね
左側にはちゃんと大天使ガブリエルが
この教会は別名、海軍提督の聖母マリア教会 Chiesa di S.Maria dell'Ammiraglio というだけあって、マリア様にまつわるエピソードがいろいろとあります。
キリスト誕生のシーン 右下が気になります。キリストが産湯に浸かるところ?洗礼ではおかしいし、どなかた説明できる方いませんか?
聖母被昇天。キリストが抱えているのが赤子の姿となったマリアの魂
この表現はビザンチン独特のものだと思います。
その他にもいろいろと。
背景の金色モザイクが一体的と言うのでしょうか、継ぎ目があまりなく、金箔を貼ったかのような感じが印象的でした。ベネチアのサンマルコ寺院のクーポラに似ているかな?ベネチアから職人を連れてきたという情報をどこかで見たのですが、真偽のほどはともかく、さもありなんって感じです。末期のビザンチンモザイクの特徴なのかもしれません。
かつての東ローマ帝国もこのようなモザイクがたくさんあったのでしょうか?
最高峰とも言われるビザンチンモザイクに囲まれて至福の時を過ごしました。