お散歩気分でモザイクを楽しむ in ローマ1
サンタマリア・マッジョーレ大聖堂のモザイク群 ローマ イタリア
ローマに住んで良かったなーと思う事の一つが貴重な教会に何度でも気が向けば足を運ぶことができたこと。
伝説や美術の宝庫である大聖堂でもタダで何度でも立ち寄ることができるのですから、ありがたい話です。
さてこちらサンタマリア・マッジョーレ大聖堂はテルミニ駅から歩いてすぐという便利な立地にあるため、お買い物のついでに立ち寄ってみたり、カメラ抱えて訪ねたりと何度も足を運んだ場所です。
実はここに何度も来なければならなかった理由がもう1つあります。この大聖堂、中が本当に暗くて撮影者泣かせで何度写真を撮ってもまともなものが撮れなかったのです(涙)
正面のアプシスは灯りが付くのでいいのですが、列柱の上に古くて貴重なモザイクが並んでいて、ここを取るのが一苦労。何度撮っても手ブレだらけで亡霊のような写真になるばかり。何度かチャレンジした後についに断念し暗がりに強いコンデジに買い換える決心をしました。
教会のモザイクを撮るにはカメラの性能に無頓着ではいられないとここで学びました。
あの頃にコンパクトミラーレス機などがあればこんな苦労はなかったでしょうね。今でもカメラを新調するとあそこで撮影したらどんな風になるか、そんなことを考えてしまいます。
この列柱上にあるモザイクは創建当時からあるオリジナルのモザイクで5世紀ごろのものとされています。
431年のエフェソス公会議でキリストの人性説が協議されたのですが、最終的に人性が薄まり三位一体が強化され、同時にマリアさまが「神の母」であると決まりました。この決定をうけ教皇シクストゥス3世がこの教会を建てたのです。
人間キリストのお母さんで決まっていたら、今あるサンタマリアを名乗る教会はすべてなかったんでしょうか。今となってはあまりにも別世界すぎて想像もつきません。
モザイクのパネルはもともと42枚あったのですが現存するのは27枚です。左手にアブラハム、ヤコブ、イサクの物語、右手にモーセとヨシュアの話が描かれているそうです。
知識がないので細かいエピソードなどはわからないですが、これらのパネルにいる白髪の老人はヤコブのようです。
こちらはアブラハムとロト
これらのパネルはモーゼの物語のようです。モーゼはやはり若者の姿です。
これは出エジプト記の中のモーゼの奇跡のシーンですよね?
これまでの2段構えの平板な絵から一気に遠近法っぽい躍動感のある表現になってます。作り手さん、かなり力が入っている模様です。
この辺りも恐らくはモーゼにまつわるシーンかと思うのですが、武器を持った兵隊の姿が多くて教会には異質な感じがします。でもつい最近聞いてきたことのように生き生きと表現されてますよね。カラフルな装備もお揃いでオシャレです。
正面も見応えあります。手前の凱旋アーチ部分のモザイクも同じく5世紀ごろのものと言われています。
左上のほうには、受胎告知や東方3博士の礼拝らしきシーンが見えます。
中央には神を象徴する十字架の乗る玉座があります。それを挟んで立つ2人の男性は聖パオロと聖ペテロ。また2人の肩のあたりには象徴化された4人の福音書家(一部切れてますが)が見えます。
足元の文字は「神の民の司教シクストゥス」とありますが、これはもちろんシクストゥス3世を指しています
右手のほうはイエスの若い頃のエピソードが並んでいるようです。聖家族やエジプトへの逃避の様子など、途中でどこかで偉い人に会ってるような感じです。
上から3段目にはヘロデ王に呼び出された3博士の様子が描かれていますが、これって赤ちゃんのイエス様を訪ねる前の出来事ですよね? ストーリー通りに並んでないので分かりづらいです。なぜこんなところに?と思うんですけども。
ただ気になるのはその下にある街のモチーフなんです。
一番下の段には左右ともに街をあらわすビルのようなものが描かれてますが。左がイエスが生まれたベツレヘム、右は終焉の地で復活の地でもあるエルサレムなのだそうです。
ヘロデ王の真下にエルサレムって、この並びにはなにか深い意味があるのでしょうか?
ここまででも随分と長くなってしまいました。
続きは次回にお届けします。