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Viaggio mosaico

〜モザイクをめぐる旅〜

お散歩気分でモザイクを楽しむ in ローマ2

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サンタマリア・マッジョーレのモザイク群 ローマ イタリア

ようやく正面奥のアプスにあるモザイクにたどり着けました。

アプスの中央ではイエスとマリアが玉座に座り、イエスがマリアにまさに王冠を置こうとしてる様子が描かれてます(マリアの戴冠)。2人とも若々しい感じで親子というよりはカップルのよう。メダイヨンの背景は濃紺の空に金色の星がちりばめられ、太陽と月が足元にあります。周りでは天使たちが2人の様子を眺めて祝っています。

天使の後ろの右側には洗礼者の聖ヨハネと福音書家の聖ヨハネ、足元の方に寄進者のコロンナ枢機卿が小さな姿で描かれてます。
左側に見えるのは聖ペテロ、聖パウロの2人の聖人。実は柱の影で見えないところに聖フランチェスコも隠れています。そして小さな赤いマントを纏った人はニコラス4世法王で、このお方が13世紀に創建当時の後陣を現在のものに作り変えたのです。モザイク製作の命を受けたのはヤーコポ・トッリッティ。なんと材料はオリジナルのテッセラを集めてそのまま使ったそうです!

だからでしょうか、金色のキラキラは平面的な輝きを見せているものの、全体的に味わいのあるいい色の仕上がりです。あのベネチアのサンマルコ寺院のモザイクとほとんど同じ時期に作られてると思うと風合いの違いは歴然です。

アカンサスの木の蔓で囲まれた鳩や孔雀の姿は、最近の記事ではおなじみの古代ローマから続く古いモチーフだし、天使の羽の表現はラヴェンナで見た雲の表現を思い出したりして、わざと初期っぽくしてるみたい。また人、聖人、天使、中心のイエスとマリア、それぞれの姿の大きさを変えることで偉大さを表しているところも古典的だなあと感じます。

その下には聖母被昇天を描いたモザイクがあります。こちらもトッリッティの作品。

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光輪をつけた聖人たちが居並ぶ中、マリア様の真下には小さく描かれた一般人がまぎれこんでます。この写真では分かりづらいですが2人はフランチェスコ会の僧の姿であと1人は13世紀当時の一般的な服装をした人なのだとか。
トッリッティの遊び心でしょうか、13世紀の彼らがタイムマシンにでも乗って、この世界に紛れ込んだような感じがなんともユニークで面白いです。


この大聖堂にはもう1箇所忘れないでほしい別のモザイクがあります。
大聖堂の入り口側少し離れたところからファサードを見上げると、上部ロッジア(バルコニー)の奥の方にモザイクがあります。よーく目を凝らして見ないとわからないのですが。
このロッジアは別途料金を払うと上がれるようになっているので、時間がある方はぜひ行ってみてください。13世紀のモザイクを手を触れられる距離で見ることができます。描かれているのは真夏の雪の聖母の奇跡の物語です。

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奇跡の物語は中世の伝説です。352年、ヨハネという貴族がいました。彼は子供に恵まれなかったため遺産の使い方を思案し、聖母マリアのために教会を建てることを思いつきます。すると聖母マリアがヨハネの夢の中に現れ「エスクィリーノの丘の雪に覆われたところに教会を建てよ」と告げます。不思議な夢を見たと思い、その翌日教皇リベリウスの元に報告に行くと教皇も同じような夢を見ていました。そこで丘へ行ってみると8月5日の真夏にも関わらずお告げ通りに雪に覆われたところがあったので、そこに教会を建てた、と言われています。

向かって左側にマリア様のお告げのシーンが描かれています。
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右側の方、肝心のところが光で見づらくなっていますが、ヨハネが教皇リベリウスに夢の報告をしているところです。
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モザイクもいいですがロッジアからの眺めも楽しんでくださいね。

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