南イタリアの教会にはヘタウマモザイクがいっぱい 3
バーリ大聖堂 ティモテオのモザイク バーリ イタリア
ここのところ南イタリアの記事が続いてますが、この旅行で拠点にしていたのがアドリア海に面したプーリア州都のバーリです。アルベロベッロやマテーラへのアクセスも良く便利なので、南イタリアへ訪れる旅人は必ず立ち寄るのではないでしょうか。
ホテルは大通り近くにとっていたので賑やかな都会だと思っていたのですが、海辺の方へ散歩すると旧市街や漁港などちょっと雰囲気がいいエリアがありました。
バーリの観光は日中遠出した後、隙間時間を利用しての観光なので基本夕景か夜景です。
それほど広くない旧市街に印象的な教会が2つありました。
一つはサン・ニコラ聖堂、日本ではサンタクロースの名でおなじみのバーリの守護聖人サン・ニコラを祀っています。
ちなみに聖ニコラはトルコが本拠地なのです。あちらで彼の教会にも行きました。
時はまさにクリスマスシーズン、ここのプレゼピオは教会と中庭を挟んだ向かい側、道沿いの建物に等身大で飾られてました。
写真以上にイルミネーションがキラキラと明るく、中庭が神聖だけど華やかで実にクリスマスらしい空間になってました。
一方聖堂のファサードの方はこんな感じです。
クリスマスの飾りがなにもなく、この時期プーリアロマネスクの建物は完全に脇役に徹しているようです。
よく見ると外観や扉周りの彫刻の感じがビトント大聖堂によく似てます。これはビトント大聖堂がサンニコラ聖堂を真似て作ったからだそうで、こちらが本家本元です。
もう一つの教会が今回の本命、バーリ大聖堂です。

中に入った時はミサの真っ最中、でも間もなく終わりそうな気配だったのでそのまま見てました。
皆が自由に動き始めた頃、ようやく地下階段への案内図に気付いたのですが、開館時間は午前のみと書かれていてガッカリ。どちらにしても完全に時間外に訪れているので、入れるわけないかと半ば諦め顔で立ち去ろうかと思っていたのですが、なんと係のお兄さんがやってきて、どうぞ!と扉を開けてくれたのです。
なんと素敵なサプライズ!
バーリには本当にサンタクロースがいたようです。しかもクリスマスソングのBGMまでサービスしてもらいました。

まず目に入ったのはこちらの地下聖堂。黄色い大理石が色鮮やかです。

モザイク床が見えてきました。
この辺りは5世紀初頭の初期キリスト教時代に建てられ、中世(11世紀頃)まで続いたかつての教会の遺構があります。
その後拡張した今の教会が建てられたため、教会の周りの土地も一緒に取り込まれて残ってます。
写真はローマ時代に使われていた道の一部。轍がくっきりと残ってます。

ここはパネル説明が丁寧で、見やすかったです。
教会跡のどの場所にモザイクがあったかよーくわかる図面もありました。これは助かります! 地下でウロウロしていると自分の居場所をつい見失ってしまうので。
復元の様子を説明したパネルもありました。地道な作業の積み重ねで大変そう。


パネルの図面を参照すると、この写真↓は教会の外壁の隙間から覗き込んだ感じになるのかな?(図面のAの箇所)

こちらがティモテオのモザイク。ほとんどは幾何学模様で埋め尽くされています。


幾何学模様なのになぜか味わい深い表情を醸し出し手ます。中央の正方形周りにある縄が四方に円を描くように絡まった模様は真ん中の処理が適当で残念で気になってたまらない。ですが、ついついあーでもないこうでもないとじっと見入っちゃってしまうのは、もしかして作者の策略にはまってるのかしら??
部屋の隅っこの方はちょっと様子が違います。



魚、さかな、サカナ、イカ、、、
絵柄が愛らしすぎて、キリストのシンボルとしての意味などどこへやら。ありがたいというよりも可愛いとしか言いようがありません。
ああ、お魚が食べたい〜 (魚のモザイクを見るといつもこれ)

碑文にはラテン文字でこのモザイク製作に関わった二人の司教アンドレアとティモテオを讃える内容が書かれています。特にティモテオが資金を調達したり、作品を発注したりと密に関わっていたとか。
そんな細かい情報まで碑文にしてるんですね。
モザイクとは関係ないですが、バーリで楽しめた場所をもう一つご紹介。
ノルマン時代に建てられたこちらのお城の中にはプーリアロマネスク様式の彫刻が展示されています。


彫刻の細工は細やかで見事!
見ごたえ抜群でした。