ローマの教会にバーン=ジョーンズ
バーン=ジョーンズのモザイク作品群 サンパウロ・エントロ・レ・ムーラ教会 ローマ イタリア
ローマのナツィオナーレ通り沿い、ローマ三越近辺をそぞろ歩いていると、レンガ色と白色のストライプ模様の印象的な教会が目に付きます。
この教会がサンパウロ・エントロ・レ・ムーラ教会、英語圏の方のためのプロテスタント教会です。
音響効果がよいということでよくオペラやクラシックコンサートが行われています。中にモザイクがあるらしいとは知っていたのですが、近年の作品だからとずっと後回しになっていました。
そんなある時アート好きのお友達に
「あの教会まだ行ってないの? あそこのモザイク、ラファエル前派のバーン=ジョーンズのものよ。行かなきゃだめよ!すごく良かったわよ」
と勧められ、ようやく足を運びました。
あまりにも見慣れた過ぎたため教会の全体像の写真を撮っていなかったようです、残念。
ナッツィオナーレ通りに面した扉(聖なる扉)の上にも早速モザイク(ジョージ・ウィリアム・ブレックの「4人の布教者」)です。
入り口は通りから奥まったところにあります。すぐそばの喧騒が嘘のような緑まぶしいエントランスです。
中は誰もいません。やはり知る人ぞ知る教会ってことなのでしょうか。
最初に目に付いたモザイクはバーン=ジョーンズではありません。こちらもジョージ・ウィリアム・ブレックの作品「キリストの誕生」です。
モザイク以外にもステンドグラスやタイル、絵画など目に鮮やかな作品がいろいろと目に入ってきます。
ちょっとキョロキョロしてしまいました。さて正面です。
この通りバーン=ジョーンズのモザイクは祭壇周り全面的に施されています。
一番手前の凱旋アーチにあるのが『受胎告知』
古典的な作品とは全く違い、リアルな風景の前に立つマリア様。茜色の空が印象的です。
そのもう一つ向こうの凱旋アーチには善悪の知恵の樹の前に立ち、アダムとイブに両手を差し伸べるイエスを表した『赦しの樹』が描かれてます。
角度の関係で写真が足元しか撮れていません。
参考までにモザイクのための習作「生命の木(原画)」ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵、を載せておきます。
2つのアーチを超えたその向こうに「キリストの栄光」があります
教会を見守るキリスト、左右に控えるのは大天使です。
天井部分
後陣の下の方は「地上の教会」
預言者たち
左は聖女たち、右手には騎士がいます。
群像の描き方はさすがに圧巻です。
女性の描写に、ラファエル前派のバーン=ジョーンズなるものを感じました。
このリアルな人々の描写の中には教会の建立に貢献した人たちがモデルとして描かれているそうです。
聖人たちのグループの中には教会の寄付を行ったJ.P.モルガン、騎士たちの中にはリンカーンやグラントの姿があるとか。
じっくりと探してみるのも楽しいかも。
ローマの教会では異色の空間ですが、こういうのもたまにはいかがでしょう?
お買い物ついでにぜひ!